Dvoretzki--Kiefer--Wolfowitzの不等式 (DKW不等式)

ステートメント

$X$ を $\mathbb{R}$ に値をとる任意の確率変数とし,$F: \mathbb{R} \to [0, 1]$ をその分布関数とする.$X_1, \ldots, X_n$ を $X$ の独立なコピーとして,$F_n$ をそれらの経験分布関数とする.このとき,ある定数 $0 < C < +\infty$ が存在して,任意の $t > 0$ に対して $$ \mathbb{P}(\sqrt{n} \sup_{x \in \mathbb{R}} |F_n(x) - F(x)| > t) \leq C \exp( - 2 t^2) $$ が成り立つ.

コメント

Massart (1990) によると,DKW不等式は $C = 2$ で成り立つ (Dudley (2014)).

DKW不等式は,i.i.d.確率変数の分布関数に対する一様大数の法則 (Glivenko--Cantelliの定理) の有限サンプル版といえる.ちなみに,$x \in \mathbb{R}$ を固定すると,$|F_n(x) - F(x)|$ の集中不等式はHoeffdingの不等式から示すことができる.

一様中心極限定理の有限サンプル版については,Berry--Esseenの定理を参照.

出典

R. M. Dudley. Uniform Central Limit Theorems. 2nd edition (2014).